ここ数年で「暗号資産」や「Web3」という言葉が浸透しました。
「暗号資産が儲かるらしい!」
「新しいWeb3サービスがリリースされた!」
など、なんとなくこのような話が聞こえてくるものの...
(結局ビジネスの話って感じで、なんとなく印象が良くないなぁ)
と感じている人もいるのではないでしょうか。
もちろん、Web3がビジネスに大きな影響を与え、巨額の富が動いていることは事実です。しかし、Web3は決してビジネスだけで注目されている訳ではありません!
実は、多くの日本の地方がWeb3を活用した地方創生を試みています。そこで今回は、「地方×Web3」について分かりやすく解説していきます!
意外かもしれませんが、Web3を活用した地方自治体の活動は日本全国で見られます。株式会社ガイアックスさんが全国のWeb3と地方創生についてまとめている資料では、2023年4月時点で国内に111個の「Web3×地方創生」プロジェクトが存在すると書かれています。また、2022年4月時点では14個しかプロジェクトがありませんでしたが、1年間で111個まで急激に数を伸ばしているとも記載されています!
その他にも、「Web3×地方創生」プロジェクトカテゴリ別の内訳や事例紹介も掲載されているので、詳細を知りたい方は、以下のリンクから資料請求を行ってください。非常に面白い内容なので興味があればご覧下さい!
多くの地方がWeb3を活用していることは理解して頂けたかと思いますが...
「なんでそんなにたくさんの地方がWeb3を活用しているの?」
と感じていると思います。その理由をここから説明していきます!
多くの地方がWeb3を活用している主な理由は「地域応援の活性化」「デジタル住民の確保」「財源の確保」の3つです。1つずつ説明していきます。
説明に入る前に、この後出てくるWeb3関連のキーワードがありますので、先にご説明します。今回ご説明するキーワードは「NFT」と「DAO」です。
「地方×Web3」を語るうえで絶対に欠かせない存在となっているのが「NFT」です。
NFTとは、ブロックチェーン技術で構築された代替不可能なトークンのことを指します。
「代替不可能」とはその言葉の通り、唯一無二で替えが効かないもののことを指します。
簡単なイメージとして、有名プロスポーツ選手のサイン入りユニフォームを思い浮かべてください。サイン入りユニフォームはこの世に全く同じユニフォームが存在していないため替えが効きませんが、サインが入っていないただのユニフォームは無限に存在しており、いくらでも替えが効きます。
このサイン入りユニフォームのように、世界に1つしかなく替えが効かない存在という特長をNFTは持っています。
DAOとは、共通の目標を達成するために、特定のルールに基づいて賛同者が自立して活動している組織構造のことを指す言葉です。正式名称はDecentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)であり、頭文字を取って「DAO」と呼ばれています。
一般的な組織構造として真っ先に挙がるのが、「株式会社」だと思います。
株式会社では、社長が最終的な決定権を持っており、その下に各部門の意思決定者、更にその下にはより細かなグル―プの代表が存在するように、ピラミッド型の意思決定権限を付与する組織構造になっています。
一方でDAOは、特定のリーダーが存在する訳ではなく、すべての人が全く同じ権利を持っており、1人が持つ権限などの明確なルールが敷かれており、そのルールの上で組織が成り立っているという組織構造になっています。
(一部例外として、特定の意思決定者が存在するDAOなどもありますが、今回は分かりやすいよう一般的なDAOに限った説明を行っています。)
「地域応援の活性化」を目的としたWeb3の活用として、「NFTをふるさと納税の返礼品にする」という取り組みが多く見られます。現在のふるさと納税で、「応援目的ではなく返礼品目的で納税先を決める」という光景がよく見られます。地方に納税してくれるようになったことは嬉しいことですが、返礼品が目的となってしまっては肝心の地方自体に興味を持ってもらえず、地方に足を運んでもらったり、地方自体を応援してもらうというところまで届きません。
そこで、地方の特徴を盛り込んだNFTを返礼品にすることで、地方自体の認知度を向上させたり、地方イベントの参加券や特産品の購入権などの権利をNFTに付与することで実際に地方に足を運んでもらったり地方への関心を継続させるようなインセンティブ設計を行うことができます!
昨今の日本全土の共通問題として「少子高齢化」がありますが、地方はまさにこの問題に直面しています。日本全体で人口が縮小しているのにもかかわらず、地方の存続のためには人口を保つ必要があります。場合によっては高齢化が進んだことによりインフラを更に整備する必要性も出てくるため、人口を増やすことで財源を確保する必要も浮上してきます。
そこで、DAOやNFTを活用することでその地方の「デジタル住民を確保」することができます。NFTにその地方のデジタル住民権を付与し、デジタル住民権によって住民票を獲得することで、DAOを通して地方の政策決定権を与えることができます。このデジタル住民は名前の通り地方に住む必要は無く、全世界から住民を集めることができます。また、住民権まではいかなくとも、地方に関連するNFTを配布・販売することで、地方自体に興味を持ってもらい、地方の関係人口を増やすことで将来的な地方の可能性を上昇させることも可能です。
先ほどからお話している「ふるさと納税」や「デジタル住民」の施策は、元をたどれば、地方の「財源の確保」という理由も含まれています。地方のインフラを持続させた上で地方を盛り上げていくための施策を行うには多くのお金が必要になります。
お金を稼ぐための一般的な方法として「株式会社」がありますが、地方とはあまり相性が良くないです。というのも、株式会社は「お金を稼ぐ」ことが第一目標であり「稼いだお金を後で返すから、先にお金を投資してくれませんか?」という仕組みを作ることができるので資金調達が行いやすいです。しかしながら地方の場合は「地方を盛り上げる」ことが第一目標であり「地方を盛り上げていくためにお金が必要なので投資してくれませんか?」という仕組みでは、投資する側としてはメリットが少ないように感じられてしまいます。結果的に、地方を盛り上げるために行動をおこしたいものの、その資金が準備できなかったり、今ある限られた資金をもとに施策を行い、施策を行っている最中あるいは後の売り上げで財源を調達するという状態に陥ってしまいます。
そこで、地方の「財源の確保」の新しい方法としてWeb3が活躍します。先ほどお話ししたふるさと納税の返礼品や地方のと施策してNFTを販売した際に、デジタル住民権や地方イベントの参加券、畜産品の購入権などの権利を付与することによって、「先に権利を渡すので、投資してくれませんか?」という仕組みを作ることができます。もう少し詳しく説明すると、
1.なんらかの権利を付与したNFTを販売
2.権利やNFT自体を求めてユーザーがNFTを購入
3.NFTを販売した売り上げによって資金を調達
4.調達した資金をもとに施策を実施
という流れになります。この流れによって先に資金を調達することが可能になり、施策に使う資金が増加することで施策の規模やクオリティなどを大幅に向上させることができます。結果として地方への関心や関係人口を増加すると同時に、更なる財源の確保によって次回の施策へと繋がっていきます。この好循環を創り出す起爆剤としてWeb3が活用できます。
ここまで地方とWeb3の相性が良いことを説明しました。ここからは、実際にWeb3を活用して地方を盛り上げるために行われているプロジェクトを厳選して3つほどご紹介します!
この山古志村が手掛けている「地方×Web3」プロジェクトはとても有名なので、「山古志DAO」や「山古志村 NFT」、「Nishikigoi NFT」などのキーワードを聞いたことがあるかもしれません!
簡単に仮想山古志プロジェクトについてご説明しますと...
仮想山古志プロジェクトとは、人口800人の限界集落の再生を目指して行われている世界初の「地方×Web3」プロジェクトです。
山古志村は、2004年の中越地震で震度6強を記録し、山古志村全域で甚大な被害を受け、この震災からの復旧・復興を目指して住民一丸となって活動していました。
しかし、村を盛り上げようと活動していたものの、全世界で突如流行したコロナウイルスによって山古志村で直接交流することができなくなりました。山古志村は、人口は800人しかおらず過疎化と高齢化が進んでおり、村存続の危機に陥ります。
この状況を打破するために、バーチャル上に、人・モノ・金・情報が継続的に集まるコミュニティ「山古志」を形成することを目標とした「仮想山古志プロジェクト」を始動しました!
そして、この仮想山古志プロジェクトは「NFT」や「DAO」といったWeb3を活用した内容になっています!
山古志村は、「NIshikigoi NFT」という名前のNFTを発行し、このNFTにデジタル住民権を付与しました。デジタル住民には、一部の予算執行権限の付与や、村を盛り上げるためのアイデアの発案とアイデア決定の投票権の付与、NFT売り上げの30%を活動資金として付与するなど、多くの機能を与えています。
さらに、山古志住民には無償でNFTを配布することで、NFTを購入したデジタル住民と山古志村の住民の両者で「山古志DAO」を創っています。この山古志DAOという組織構造によって、山古志村の住民とデジタル住民が共に山古志を盛り上げていくために手を取り合って活動していくことが可能になっています!
2023年11月時点で、山古志村のデジタル住民は約1600人存在しており、既に山古志住民を超える人口が集まり、山古志を盛り上げるために共に活動しています。その他にも、総務省やデジタル庁、NHKやABEMAなど非常に多くの場所で紹介されていたり、日本国内だけでなく海外のデジタル住民もいたりと、様々な角度から注目を集めています!
青ヶ島は人口160人と日本一人口の少ない村です。この青ヶ島全体をDAO化しようというプロジェクトで「DAOヶ島」と呼ばれたりしています。
このDAOヶ島は、JPYCのCEOである岡部さんが手掛けていることでも有名です。岡部さんは青ヶ島に移住しており、ブロックチェーン技術を活用して青ヶ島をDAO化することを目指しています。
人口160人の青ヶ島住民の平均年齢は約40歳と、意外にも若い方が多いという事実があります。JPYCの岡部さんは、人口160人という規模では1人1人が持つ決定権の割合が非常に高く、更に比較的変化に対応できる年齢の方も多く、しれっと青ヶ島に光ファイバーが通っており回線も申し分ないなどの複数の特徴が重なり、青ヶ島をDAO化する場所に決定したと話しています。
まだまだ始まったばかりのプロジェクトなのでどのような展開を魅せるのかは分かりませんが、NFTをふるさと納税の返礼品として配布したり、Web3などの最先端の技術を活用する企業や研究の拠点としての立ち位置を目指していたりと、面白そうな目標を掲げています。JPYCの岡部さんがSNSで発信していることも相まって多くの注目を集めると同時に、プロジェクトの参加者も1000人以上おられるとのことですので、今後の動向から目が離せません!
岡部さんが「青ヶ島DAO化計画」について詳しく語っている記事がアステリア株式会社さんが運営するin.LIVEというメディアに掲載されているので、興味のある人はこちらからご覧下さい!
最後にご紹介するのは「美しい村DAO」です。
美しい村DAOは、これまで紹介してきたものとは少し異なり、複数の地方自治体が連携したDAOとなっています。
1つの地方自治体がNFTやDAOなどのWeb3技術を活用したプロジェクトを行おうと考えたとしても、資金不足やプロジェクトを行う人材の不足など、実際に活動におこす段階まで進むことが難しい現状があります。
そこで、1つの地方自治体では不可能なのであれば、力を合わせて複数の自治体で行おうという日本初の取り組みとして「美しい村DAO」が誕生しました。複数の地方自治体と各地方を応援するデジタル住民が協力し合うことによって、より広い地域で地方創生を行うことを可能にしています。
美しい村DAOは、NFTが購入できるプラットフォームを作成しています。このプラットフォームで各地方のNFTを購入することで、デジタル住民権や魅力的なコンテンツへの参加権利などの様々な特典を受けることができます。また、デジタル住民約1000人、DAO参画地域数30町村などを目標に掲げています。
内閣府地方創生推進事務局のバックアップと、株式会社ガイアックスさんのDAO関連のサポートが行われており、力を入れたプロジェクトとなっています。複数の地方自治体が協力するというコンセプトを基にどのようにDAOが成長していくのか、期待が膨らみます!
今回の記事では、Web3がビジネスだけに留まらず、地方創生にも一躍買っていることをご説明してきました。Web3はまだまだ登場したばかりの領域のため活用方法も手探り状態となっていますが、その高いポテンシャルから世界の注目を集めています。
そんな可能性に満ち溢れたWeb3をテーマとした大規模カンファレンスが2024年4月に東京で開催されます!
その名も...
このサミットでは、「Web3」と「AI」をテーマに、両領域の専門家やビジネスリーダー、著名人が世界中から集結し、2つの領域の向上効果と展望について深い議論を展開していきます!
今回の記事でも度々登場した地方の大きな問題の1つである「人材不足」ですが、この解消に「AI」が活躍することは間違いないでしょう!
Web3とAIの両活用によって加速度的な成長を実現し、ビジネスや地方に留まらずほどんどすべての領域に影響を与える未来はもう目の前に迫っています!
本サミットで最先端の技術やアイデアに触れ、各領域に与える影響と未来についての知見を広めましょう!
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TEAMZ WEB3 / AI SUMMIT 2024 公式ホームページ
TEAMZ WEB3 / AI SUMMIT 2024 公式チケットページ
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